2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

独歩の「神の子」

「国木田独歩 その求道の軌跡」に「神の子」が驚異の哲学シリーズの作品として取り上げられていたので、全集第三巻を図書館で借りて読んだ。 ここでは死という事実の驚異にスポットを当て、そこから無窮の宇宙の中で、今、ここにある我の非常事態性を説く。…

旧約の神と新約の神

Peter, Paul and Mary Magdalene: The Followers of Jesus in History and Legend からの引用。 When, according to the Old Testament, the children of Israel are told to take over the Promised Land,they are instructed to enter Jericho and massacr…

「国木田独歩 その求道の軌跡」を読む

とりあえずカーライルと「覚醒と驚異の願望」の章を読了。 内容紹介に「キリスト教的視点から考察」とあるが、これは単にキリスト教と独歩の思想との関係を考察しただけではなく、日本基督教団正教師でもあられた著者ならではの、神や信仰を求めながらも独歩…

「国木田独歩 その求道の軌跡」を入手

国木田独歩―その求道の軌跡作者: 伊藤久男出版社/メーカー: 近代文芸社発売日: 2001/07/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る独歩とキリスト教との関わりについて一巻丸々考察している本はないか探したものの、特にそういった内容を伺わせる本は見…

独歩とカーライル

独歩はカーライルに思想的な影響を受けたということだが、カーライルについて何も知らないので、とりあえず下記の本を図書館で借りてきた。(代表作「衣服哲学」は図書館で所蔵していない。カーライル、全く人気がないようだ。)カーライル (コンパクト評伝…

独歩「此の我の存在」

全集9巻の遺稿「此の我の存在」も驚異の哲学シリーズの小品。ここでの驚異の対象は「此の我」で、夜中、ふと目が覚めたときに、この世界における自己の存在を強烈に意識するという体験を語っている。眠りから覚めたときにこういう実存的な意識状態に陥るとい…

タルコフスキーの「サクリファイス」

「あなたは神をどうお考えで?」 「何とも ただ怖い」 「別に深い意味はありませんがー あなたはージャーナリストで演劇人で文芸評論家で 美学の研究大会ではパネラーも務めなさり 随筆家です それなのにー暗い顔をしてらっしゃる」 「何です?なぜ“暗い”な…

悲哀・寂寞感からの論証?

図書館で借りてきた明治文学全集の宗教著述家の巻から、綱島梁川(全く未知の書き手だ)の「悲哀の高調」というエッセイを読む。ここで梁川が書いている悲哀感は、独歩の言う、特に理由もなく、黄昏時に感じられるという胸つぶれるような寂寞感とも通じてい…

「国木田独歩とキリスト教」(笠井秋生氏)を読む

http://ci.nii.ac.jp/els/110000967443.pdf?id=ART0001139556&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1466148248&cp=(笠井秋生氏)を読む。独歩とキリスト教の関わりについては既に多くの研究もあるようで、笠井氏のこの論文も参考…

独歩の懐疑

独歩、明治29年頃のエッセイ「文学者ー余の天職」(全集9巻)の草稿から。 神もし許したまわば余は一地方の一伝道師たることを希うなり、 余にして基督を神の独り子なりと心より宣伝し得ば全てのものを投げうって従事せん、天下これより以上の真理なければな…

明治期のキリスト教って

国木田独歩の作品を読んでいて、独歩の時代、つまり明治のキリスト教の受容のされ方に興味が出てきた。 昨今には見かけないような熱意(とシンセリテイ?)でキリスト教について考えられている気がする。 とりあえず下記あたりの本から少しづつ読んでみたい…

独歩の「苦悶の叫」

「苦悶の叫」は独歩の思想が表明されている評論、というか独白文である。 元は「欺かざるの記」の日記の一部から抜き書きされたもののようで、独歩自身断っているようにやや乱文で読みにくいところもあるが、「牛肉と馬鈴薯」「岡本の手帳」「悪魔」三作それ…

独歩の「悪魔」

「明治文学全集66 国木田独歩集」に収録されていた「悪魔」を読んだ。 岡本君は登場しないものの、今作に出てくる浅海謙輔もまた驚異の哲学に取り憑かれた人間で、意外にも(意外ではないのかもしれないが)今回浅海と対立するのは世俗的人間や現実主義では…

独歩の「驚異」

図書館で借りてきた「明治文学全集66 国木田独歩集」の「牛肉と馬鈴薯」の解題(中島健藏)に参考になることが書いてあった。 「牛肉と馬鈴薯」は独歩の人生観を集約したようなものである。その主題は、独歩終生の主旋律のようなもので、「欺かざるの記」な…

岡本の手帳 2

岡本の手帳いわく、 神の人は言ふも畏し、ポーロやルーテルや、皆な「不思議」にめさめてこの幽遠宏大なる宇宙に於ける人の命運につき心をののき感あふれしなり。その火の如き信仰は止むことを得ずして起りし結果なり。 ルターの場合は友人アレキシスの雷死…

独歩の「岡本の手帳」

牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (新潮文庫)作者: 国木田独歩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1970/06/02メディア: 文庫 クリック: 63回この商品を含むブログ (15件) を見る何十年ぶりかで再読。やはり「岡本の手帳」は素晴らしい。パスカル「パンセ」チェスタトン「…

イエス復活の状況証拠?

「捏造された聖書」のアーマンによる「ペテロ、パウロ、マグダラのマリア」を読んでいる。内容は新約その他の資料から導き出せるこれら三人の歴史的事実と伝説を推理するというもの。基本的に非信者の立場から書かれてるので、ここまでは歴史的な事実だと推…