タルコフスキーの「サクリファイス」

「あなたは神をどうお考えで?」
「何とも ただ怖い」
「別に深い意味はありませんがー
あなたはージャーナリストで演劇人で文芸評論家で
美学の研究大会ではパネラーも務めなさり 随筆家です
それなのにー暗い顔をしてらっしゃる」
「何です?なぜ“暗い”などと?」
「そんなに心配なさいますな
悲しまず 期待せぬことです
そうすれば うまくいきます
期待なさいますな」
「なぜ私がなにかを期待しているなどと?」
「人はなにかをー待つものです
例えば この私も
生まれてからずっと
なにかを待って
何と申しますか…
言うならば
駅のホームにいる気持ちでした
常にこの人生は真実の生ではなくて
真の生を待っているような
待ち続けている
そんな気がしています」

「駅のホームに佇むような気持ち」という喩えがグッときました。
台詞だけ読むと、「牛肉と馬鈴薯」ばりの思想劇のように見えるが、映画は途中で睡魔に襲われ脱落中。