父から子へ

「イエスガリラヤのナザレから出てきて 、ヨルダン川で 、ヨハネからバプテスマをお受けになった 。そして 、水の中から上がられるとすぐ 、天が裂けて 、聖霊がはとのように自分に下って来るのを 、ごらんになった 。すると天から声があった 、 「あなたはわたしの愛する子 、わたしの心にかなう者である 」(マルコ1:10-11)

三位一体の父なる神から子なるキリストへの語りかけは、まるでイエス自身、自分が何者かわかっていないかのように聞こえる。父と子は一体なのに、「わたしの心にかなう」というのも不可解だし、父の心をイエスが知らないかのように語りかける理由がわからない。父と子の関係のこういう不可解さはこの箇所に限ったことではなく、ヨハネ福音書の世の初めから存在していたキリストという考えと齟齬をきたしていると思う。